第18章 閑話休題
そうして翌朝、面倒を見てもらっていた善逸と伊之助を連れて宇髄邸を後にした……天元と共に。
「なんでおっさんが一緒にいんだよ!嫁んとこ戻れ!」
最もな意見である。
だがこれには軒並みならぬ理由が存在する。
昨晩の出来事
「更紗、突然だが……3日後、君の両親がうちへ来ることになっているのだ」
「え?お父さんとお母さんがですか?」
もちろん更紗にとって喜ばしいことに違いないが、突然のことに動揺が隠せずアタフタしている。
そんな更紗の様子に杏寿郎は笑みを零した後、すぐに表情を引き締め居住まいを正した。
「あぁ、こんなことは言いたくないが……近々訪れる鬼舞辻側との闘いは激戦が予想され誰しも命の保証などない。それにもうすぐ柱稽古も始まるので俺たちに時間の余裕はなくなる」
つまり比較的時間がある今のうちに両親に会っておかなくては、再び会うことが叶わなくなるかもしれない……ということだ。
いくら生きて戻るつもりでも、何が起こるか誰も予想など出来ない。
次に両親が駆け付けた時は更紗は帰らぬ人となっている可能性も十分に考えられる。
「縁起でもない……と言いたいところですが、杏寿郎君の仰る通りです。闘いの最中、死の淵に立たされた時に会っておけばよかったと思っても遅いですし……私のために両親を招いてくれたのですね」