第18章 閑話休題
「その意気だ!君は元々身体能力が高いのだから案ずることはない!さて、更紗の憂いも晴れたところでそろそろ中で休ませてもらうとしよう。病み上がりの体に夜風はあまり良くないからな」
そう言いながらも動く気配がなく、それどころか背中に回された腕の力が強くなり更紗は身動きが取れない状況となってしまった。
特に苦しくもなく、なんなら心地良いので全くもって不満はないのだが言葉と行動が合っていない杏寿郎に少しだけ首を傾げた。
「どうかされましたか?ご気分が優れないようでしたら、少し座って落ち着くのを待ちましょう?」
「そうではない。少し離れるのが惜しくなっただけなので心配しなくて大丈夫だ……あと、いつの間にか覗きが趣味となった宇髄に見せつけている」
少し笑いの含んだ声を合図に玄関の戸が勢いよく開き、それに伴って更紗の体がビクリと跳ね耳が赤くなりだした。
「やっぱ気付いてたか!心配して様子見に来てたんだが、ずっとくっついてっから邪魔しちゃ悪ぃと思ってな!って何で姫さん隠すの?今更じゃね?」
「今更ではない!この顔を見れるのは俺の特権だと言ったはずだ!
それを撤回した記憶はないぞ!」
羞恥に襲われた更紗をよそに暫く押し問答が続いたが、どちらからともなくそれもおさまり、一日は終わりを迎えた。