第18章 閑話休題
稽古内容が知れず眉を下げていた更紗に、とんでもない特別課題が突き付けられた。
しかも確認として一応疑問形で問われているが、
『継子ならば他の剣士より早く稽古を終わらせるなど朝飯前なはずだ!』
と言葉に出さないだけで、表情はそういった言葉がありありと浮かんでいる。
「も、もちろんです!ですが……1つ確認したいことが……よろしいですか?」
何を更紗が聞こうとしているのか分かっているのか、杏寿郎は満面の笑みをただ向けるだけに留まっている。
嫌な予感に冷や汗が流れるが、ダメだと言われていないので更紗も笑顔を必死に貼り付けて質問を試みた。
「力を巡らせて無尽蔵に動けるようにしてもいいですか?」
「許可しかねる!」
即答……一刀両断だった。
「……想像はしておりましたので驚きません。万が一糧が尽きた際に戦闘力が落ちてしまうのは避けなければならないですもんね……狡をせず日々の鍛錬と同じように素の力で頑張ります!」
気持ちを切り替えた更紗の纏う空気は、先程とはうって変わって溌剌としたものとなった。
それにそっと心の中で安堵した杏寿郎は大きく頷く。