第18章 閑話休題
禰豆子を見遣るが本人は状況を理解することが叶わず、キョトンと更紗を見つめ返していた。
それに弱々しく微笑み返すと、膝の上に置いていた手をギュッと握り締めゆっくり立ち上がる。
「すみません、少しだけ外の空気を吸ってきます。すぐに戻りますので」
戻ると言うからには以前のようにどこかへ行こうとする意思はないのだろうが、やけにしっかりした足取りで玄関へと向かう更紗が何だか不自然でその場の全員が心配そうに背中を見送った。
暫く沈黙が続いた後、杏寿郎が小さく息をついて立ち上がり、更紗が向かっていった玄関へと足を向ける。
「様子を見てくる。まだ話していないこともあるので済ましてこようと思う!なので先に休んでいてくれ!」
障子を静かに開閉して廊下を歩いて行ったが、その足音がいつもより早いので心配なのだろうと誰もが理解出来た。
「ってわけだ!姫さんは煉獄に任せときゃ大丈夫だろ!お前ら明日帰んだからしっかり休んどけ!さっき話したように近々休みたくても休めねぇ日が続くんだ、休めるうちに休んどけよー」
こうしてこの場はお開きとなり、天元を除いた全員が各々与えられた部屋へと戻って行った。