第17章 歪みと嘘
「あ……無一郎さん……これは鬼の攻撃でこうなってしまっただけで、決してあばずれでは……」
更紗は無一郎に貸してもらった隊服をかき抱いて真っ赤になった顔を地面へ向ける。
あばずれと子供鬼に言われたことが、余計に更紗の羞恥を駆り立てているのだろう。
だが鬼と闘って……しかもあれほど強力な血鬼術を出す上弦の鬼の分身と闘って服の損傷のみで済んでいるのが奇跡である。
服が変わり果てていたとしても心配や赤面はすれど、誰もあばずれなどと思うはずもない。
「そんなこと思わないよ。煉獄さんも言わなかったでしょ?むしろ隊服がそれだけボロボロになってて、よく無事だったなって感心するけど」
「はい……治癒をかけ続けて体が弾け飛ぶのを防いで……あ!い、急いで足を治さないと師範が来た時に叱られ」
「ふむ!何があったのか分からんが、更紗の足が折れているように見える!今度はどんな無茶をしたのだ?!」
遅かった。
あばずれと言われたことを気にするより先に足を治していれば杏寿郎に骨折したことを知られずに済んだものを……
「師範?!ご、ご無事で何よりです!これはその……禰豆子さんが朝日に焼かれてしまうと思って、そこの崖から飛び降りた時に負った怪我でして」