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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第17章 歪みと嘘


羽織の隙間から出ている手は間違いなく禰豆子の手だ。
鬼の禰豆子は朝日に焼かれてしまうはずなのに、手は焼かれておらず傷はあるものの崩れてはいない。

「え、あ……どういう……」

振り返って炭治郎を確認すると、鬼の頸を斬ったところなのだろう……炭治郎の目の前で塵が空へ舞っていく。
とても喜ばしい事だが、こちらも異常事態発生だ。

「炭治郎さん……炭治郎さん!こちらへ来てください!禰豆子さんの様子が!」

目の前の鬼と同じように消えてしまったのだと勘違いしている炭治郎は涙で頬を濡らしていた。
その姿を見た禰豆子は1度更紗に抱き着くと、スクッと立ち上がって炭治郎のそばへ歩み寄る。

「禰豆子……お前、太陽の下でも平気なのか?」

信じられないというように炭治郎は驚いていたが、無事な姿に安堵して更に涙を流し禰豆子を抱き締めている。

その様子をホッと胸を撫で下ろして眺めていると、肩に隊服がパサリと掛けられた。

「何が起こったんだろうね。嬉しいことだけど、更紗ちゃんはホッとする前にこれを着ててくれる?俺もだけど……玄弥が顔真っ赤にしてるからさ」

禰豆子を守らなくてはと無我夢中だったので忘れていたが、現在更紗の上半身前面は所々破けた襯衣のみで隠されている状態だ。
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