第17章 歪みと嘘
「気にすることはない!君を少しでも守れたのならばそれに越したことはないからな!……気持ちが落ち着いたなら傷を癒して、竈門少年たちの様子を見てきてもらえるか?もう夜が明ける、取り逃がすことはないと思うが苦戦してるようなら手を貸してやってくれ」
杏寿郎の言葉に更紗は白み始めた空を見上げる。
まだ陽は昇っていないが、あと数分もすれば辺りは明るくなるだろう。
「分かりました。あの、でもそこの鬼は……」
「案ずるな、もし急速に再生したとしても太鼓もあるし日輪刀も健在だ。俺1人でも問題なく対処出来る。今はこの鬼より本体だ」
炭治郎たちがいると思われる方角からは何やら声が響いている。
本体が逃げようとしているのか、それとも追い詰めているのか……判断出来ない以上、急ぐに越したことはない。
「……暫くそこの鬼はお任せします!」
「あぁ!」
ここに自分が残ったとして、子供鬼が復活した時に対処出来る可能性は低い。
龍や多くの血鬼術を使われた際に対応し足止め出来るのは柱である杏寿郎しか考えられない。
後始末を杏寿郎に押し付けているようで心苦しいが、更紗は自分が役に立てるかもしれない場所へと足を動かした。