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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第17章 歪みと嘘


そう思ったが現実は甘くなかった。

「いっ……痛っ!」

鼓膜や体が悲鳴を上げる。
初めに杏寿郎を庇った時とは比べ物にならない程の威力の攻撃に意思とは関係なく涙が溢れてくる。

特に剥き出しの目はまるで無数の針で刺されているような痛みで瞼を閉じたくなるが、閉じてしまっては杏寿郎が龍を斬り捨て作ってくれたこの瞬間を無駄にしてしまう。

「あばずれが!儂に近付くな!」

「誰が……あばずれですか?!師範の前で……そんな事言わないで!」

何をもってあばずれと呼ばれたのか皆目見当もつかない更紗は、杏寿郎の前で侮辱されたことに憤慨し日輪刀を強く握り締め、痛みが続く目から涙を流しながら子供鬼との距離を詰める。

「痛いし恥ずかしいし……最悪の気分です!」

日輪刀を振り上げ太鼓を叩く手を斬り落とそうとするが、気が付けば両手とも杏寿郎の攻撃を受けた龍と同じく断面が赤く染まりなくなっていた。

「き、君は目的に集中!足止めは俺の仕事だ!」

何故か吃っている杏寿郎に首を傾げたくなる気持ちを抑え、手の再生が追いついていない今が太鼓を破壊する絶好の機会だと一気に鬼と距離を詰める。

「はい!すぐに終わらせます!」

子供鬼の目前で地面を踏み切り、高く跳躍して背後へと着地すると太鼓が連なっている輪っかに手を掛け、片足を子供鬼の背に押し当てて渾身の力でそれを引っ張る。
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