第4章 鍛錬と最終選別
この言葉だけでは測りかねるが、その表情はフワッとしていて
あぁ、好きなんだろうな
と見るだけで伝わるものだ。
だが、その気持ちに気付かせるのは千寿郎ではなく兄である杏寿郎でなければならないと、千寿郎も理解している。
ただ、気持ちを知りたかっただけだ。
「分かります!兄上の隣りは僕も好きです」
ですよねーと互いにニコニコと時を過ごしていると、誰かが暖簾をくぐってきた。
更紗は杏寿郎が帰ってきたのかと思い、笑顔でそちらに顔を向けるが
「綺麗なお嬢さんが弟くんとお出かけかな?」
見知らぬガラの悪そうな男が2人立っていた。
フラグ無事に回収。
「更紗さん、僕の後ろにいてください」
すかさず千寿郎が更紗と男達の間に入り、更紗に近付かせないように立ち塞がった。
「せ、千寿郎さん、危ないです!」
「兄上に自分がいない間、更紗さんを守るように言われています。これは僕の矜恃でもあるので、守らせてください」
それでも更紗は心配が拭えず、中腰になってどうしようかと泣きそうになりながらオロオロしている。