第17章 歪みと嘘
「更紗の安否も確認せねばならんのに……そう簡単には離れさせてもらえないようだな」
杏寿郎の目の前には子供のような新たな鬼……というには語弊があるかもしれない。
新たな鬼に変わりないのだが、子供のような見た目の鬼は分裂していた鬼が融合したものだ。
ヤツデの葉をもった鬼を杏寿郎はあと一歩のところまで追い詰めていたのだが、その鬼が突如近くに転がっていた2体の鬼を吸収しだした。
それに目を見張っていると、炭治郎たちが相手をしていた鬼の元へ飛んで行きそれをも吸収していった。
すると瞬く間に体が小さくなり、鬼気が爆発的に上昇したのだ。
「本体は竈門少年たちに任せて問題ないだろうが……さて、どうしたものか」
「貴様は柱らしいな。それもあの方が望む娘を匿っているとのことだが」
考える時間も与えてはくれない。
「そうだが何か問題でもあるか?生きていようと例え……命を落としていたとしても更紗の体をお前たちに渡すつもりはない。これ以上あの子を弄ぶようなら……容赦はせんぞ!」
本体を倒すまでこの闘いは永遠に続くと分かっているが、その本体を炭治郎たちが倒すまでここで食い止めなければならない。