第17章 歪みと嘘
自分への苛立ち、鬼に対する怒りが込められた技は離れた場所にいた2体の鬼の体を切り刻み、頭を床へと転がす。
「どうやら貴様らの言う赫刀とやらは再生を大幅に遅らせる効果があるようだな。そこで暫く大人しくしていろ、今度はあいつを相手せねばならんのでな」
杏寿郎は刀を振って汚れを落とすと、空からこちらへ近付いてきている鬼へと体を向ける。
その鬼はまた違う術を使うのか、手にはヤツデの葉が握り締められていた。
「えらくやられたのぅ!面白い、今度は儂の相手をしてもらおうか!」
何が面白いのか邪悪な笑顔でヤツデの葉を頭上へ持ち上げ、まるでそこから発せられる風で杏寿郎を吹き飛ばそうとするかのように勢いよく振り切ったが、見え透いた攻撃など今の杏寿郎には避けるのも容易い。
破壊された壁から瞬き1つの間もない速度で外へと脱出し後ろを振り返ると、家屋は見えない圧力で潰されもはや原型を留めていなかった。
「貴様らはこうして人々の暮らしをなんの躊躇いもなく脅かす!鬼の言動には反吐が出る!」
憤りを糧に木々へと飛び乗って空を飛ぶ鬼の頸目掛けて日輪刀を振りかぶった。
「貴様も無事でいられると思うな!全員纏めて俺が相手をしてやる!」