第17章 歪みと嘘
上弦の伍が巨大金魚や棘金魚を差し向け更紗の体に生傷を増やしていくが、そんなものには気にもとめずただひたすら壺の破壊に務める。
しかも生傷は一定時間ごとに更紗が自身の体に治癒を試みているので、まるでいたちごっこで壺の数だけが変わっていく。
「貴様!体が麻痺して動けないはずでしょう?!なぜ動ける?!その痣か?……あっちの方角に別の鬼狩りの気配。貴様は後でゆっくりいたぶって生き地獄を味わうような作品にして差し上げます」
厭な笑顔を貼り付けて上弦の伍が体を向けたのは無一郎が鉄穴森と向かっていった方角。
まだ戻っていないところをみると刀の交換は終わっていないはずだ。
「作品なんかどうでもいいですが……あちらに攻撃なんてさせない!」
そう更紗が言うのを待っていたと言わんばかりの先ほどより更に厭らしい笑みを浮かべ、上弦の伍は攻撃態勢を整えて殺してはいけないはずの更紗へ殺す勢いで血鬼術を仕掛ける。
どうやらこの鬼は魚を主な攻撃手段としているらしい。
巨大金魚に棘金魚、今回の攻撃は海にいるような魚、しかも通常の魚にはないはずの鋭い牙を持ち合わせている数え切れない魚の大群だ。