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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第17章 歪みと嘘


珍しく投げやり気味である。
だがそうなりたくなる更紗の気持ちも分かる……今回現れた上弦の鬼は目の位置にそれぞれ口があり、額と顎に目がついている。
しかも口の位置にある目からも声が聞こえるので、もうどれが口でどれが目なのか判別不能だ。
唯一鼻だけが正常な位置で正常な形を保っているのがせめてもの救いだと思うしかない。

「この美しさが分からぬとは可哀想な小娘よのぉ。さぞかし貧相な生活を送ってきたのだろう……その割には髪や瞳は美しい……私が作品として残して」

「いえ、結構です」

斬った。
もう本当に勘弁して下さい、願い下げですと言わんばかりの勢いで言葉を斬って日輪刀を構え直した。

すると壺から鬼が不愉快そうに顔を歪めながらズルズルと這い出してきたのだが、またもや更紗は腰を抜かしかけてしまう。

手が……手が体中に生えているのだ。
人により芸術の価値は全く異なると理解しつつ、こればかりは更紗であっても身震いするしか出来なかった。

「あぁ……手、手ね。肉塊に手にまぁなんとも……何にしましても、鬼に作品にされるのは不愉快でしかありません。それに貴方は里の人を何人も壺の中へ押し込めて殺そうとされましたよね?芸術なんて綺麗な言葉を語るに値しない存在です!」
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