第17章 歪みと嘘
トンデモ少女の更紗は、嬉し涙を流しながら無一郎とともに移動していった鉄穴森を見送った後、比較的大人しめに棘金魚を殲滅して今は警戒しながら1つ目の壺を破壊しようとしていた。
「……また目がいっぱいあったり、変なところに出現させる何かが出たりしないですよね?もう目は懲り懲りです」
下弦の壱、上弦の陸の妹鬼はそれぞれ目が印象的だった。
もうそろそろ目以外の十二鬼月が出てくれなければ、十二鬼月の印象は目に固定されてしまう。
「そう言えば初任務の時の女性の鬼も目が4つありました……何の因果でしょうか」
どれだけ嫌でも人に仇なす壺は放置出来ないし、杏寿郎にも無一郎にも任されたのだ。
更紗は意を決して構えを取る。
「紫炎の呼吸 壱ノ型 紫炎の猫」
紫の猫がスパッと壺を斬ると、別の壺からおぞましい悲鳴が上がった。
そちらの壺へ更紗が向き直ると、中から上弦の鬼と思われる……今までの鬼が可愛く思えるほど歪なモノが現れ、あと少しのところで腰を抜かしそうになった。
「よくも私の芸術的な壺を斬りましたね!この美しさも分からない獣同然の小娘が!」
「ほらね、また目が変なところにある鬼でしたよ。今度はそうきましたか……目の位置にお口があるだなんて想像すらしませんでしたよ」