第17章 歪みと嘘
力の一端を見せてしまっているので誤魔化しようがないが、これ以上追求されないように眉を下げた笑顔を向けた。
「すみません、詳しくはお話し出来ません。さぁ、貴方もあまり私から離れ過ぎず、身を隠しながら着いてきてくださいね」
更紗の困ったような笑顔は里の人全員の質問を呑み込ませるのには十分だった。
特に更紗を杏寿郎の継子だと知っている1人と小鉄は率先して口を固く閉ざし、これから始まるであろう戦闘の邪魔をしないために木々へと身を潜ませる。
そうして全員が身を隠し終えたところで鬼の捜索を再開させる。
辺り一帯を視界に映しても壺が点在しているだけで鬼の姿は確認出来ない。
「どう考えても壺が怪しいです……だからといって無闇矢鱈と突っ込んでいってはいけませんし……ん?また金魚?」
先ほどまでの巨大金魚とは違う、フワフワと空中を漂う金魚が更紗から少し離れた場所に数体出現したかと思うと、頬と思われる箇所が突如膨れ上がった。
更紗は危険を察知して里の人たちが身を隠している場所まで跳躍すると、金魚が口を開けると同時に盛炎のうねりを発動させ飛ばされてきた何かを弾き飛ばす。
「痛っ……太い棘のような……しかも麻痺毒仕込みですか」