第17章 歪みと嘘

1人過去の行いを悔いていると、里の人が何か閃いたようで手をポンと叩き合わせた。

「貴女は月神さんですね！宇髄様が鬼殺隊を辞められるとのことで、こちらへ挨拶に来られた時に聞きましたよ、煉獄様の継子は自ら危険に身を投じようとするから心配が耐えないと！なるほど、こういう意味でしたか！」

ボンッ

と音が鳴りそうなほど顔が一瞬で真っ赤になった。

「天元君が？！うぅ……師範の言葉じゃないですが、よもやよもやです」

目の前で百面相を繰り広げる更紗へ里の人は笑みを浮かべながら先を続ける。

「でもそれは誰かを助けたいって気持ちから出る行動なんだ、それが堪らなく愛しくて可愛くて仕方ないとも仰られていましたよ」

天元は数日前に鬼殺隊を除隊した。
そのお陰で更紗を早々に見つけ出すことに成功し、無事に保護するに至った。
いつも陰ながら支えてくれる天元が自分をそんな風に思ってくれていることが嬉しく、心に暖かいものが広がっていく。

「お会いした時はたくさんお礼しなくてはいけませんね。……すみません、立ち止まる時間がないのでお2人とも上手く着地して下さい！」

緩んでいた更紗の頬が引き締まった。
2人がそれを確認して身構えると、可能な限り体勢を低くして衝撃が最低限になるよう配慮しながら2人を解放し、おさまっていた痣を再び発現させ抜刀した。

「もうやめて！傷付けないで！」