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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第17章 歪みと嘘


「そうだったのですか。今のままでも素敵な方に違いはありませんが、本来の時透様ともお話ししてみたいですね!何かのきっかけが優しい人の言葉だったらいいなと思います」

記憶障害は脳に強い衝撃が与えられた時も現れるが、心身共に耐え難い悲しみや辛さなどを感じた時も現れることもあると聞く。
どちらにしても無一郎の過去に何かあったのは確かであり、それは楽しい過去ではないのは間違いない。

「俺もそう思う。そんな状態にも関わらず僅か2ヶ月で柱に上り詰めたのだ、本来の姿になればもっと強くなるかもしれん!……柱といえば、更紗は合戦で宇髄の鈴を奪ったのだから俺たち柱から願いを1つ叶えて貰えるが、何にするか決めているのか?」

「2ヶ月なんて私はまだ受け身が上手く出来ず四苦八苦してた頃ですよ……柱稽古の際はぜひしごいていただかなくては!え、願いですか?決めましたよ!私、任務先の街で……」

和やかな空気から一変、2人に緊張が走った。
言葉を発することなく立ち上がり、同時に脱衣場へと足を進めた。

「更紗、今回は素早く準備を済ませて来るんだ。鬼が出たぞ」

「……はい。すぐに戦闘態勢を整えます」

鬼が出ないはずの刀鍛冶の里で鬼が出る異常事態。
更紗の表情は曇ったが、今は先に準備を終わらせなくてはならない。
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