第17章 歪みと嘘
「疲れるどころの話しではなかっただろう……辛ければ我慢せず頼るんだ。あの屋敷は更紗の帰る場所なのだから遠慮する必要はない。竈門少年たちもなぜ戻らないのかと首を傾げていたからな……この里を出たら俺たちの屋敷へ帰ろう」
こうして2人で微笑み合える穏やかな日々は足早に駆けていく。
その間には蜜璃が尋ねてきてくれたり、刀の研ぎ直しで里を訪れていた無一郎が杏寿郎と打ち合い稽古をしたり……炭治郎にいたっては里の子供から無垢で残酷な鍛錬を課せられ、日に日にやつれていっていた。
なぜか水も食事も絶たれていたらしく、それは杏寿郎ももちろんだが体調の優れない更紗も心配するほど無惨な姿と化していた。
聞くと精密なカラクリと闘い、それに一撃入れるまで食事も水も抜きと断言されたとか……
そんな炭治郎がついに飲食を許された日、すっかり体調の良くなった更紗と杏寿郎の日輪刀の修繕が終わり、明日には里を経ち屋敷へと戻ることとなっていた。
鬼も気にせず過ごせる最後の夜、せっかくなので2人は部屋で死んだように眠る炭治郎と気持ちよさそうに寄り添って眠る禰豆子へ、起きたらすぐに追いかけて来られるように手紙を添えてから露天風呂へとやって来た。