第17章 歪みと嘘
少し怒り口調の爽籟にすみませんと小さく謝り、杏寿郎の腕の中で手を広げると、神久夜を筆頭に要、爽籟がピョンピョンと更紗の足へと飛び乗って絶妙な位置へ座り各々羽を休めだした。
神久夜に至っては更紗の腹の上に頭を乗せ、涙を浮かべながら体を擦り寄せている。
「君は鴉たちにも好かれているのだな!爽籟は初めてなのに……えらく懐いているな」
「実弥ガデキナイコトヲ代ワリ二シテイルダケダ!前二罠ヲ仕掛ケテクル可愛イ妹ガイルト聞イタゾ、オ前ノコトダッタノカ」
実弥、未だに罠のことを忘れておらず。
更紗は引き攣り笑いを浮かべるが、こうして心配して鴉を飛ばしてくれたことは素直に嬉しく頬が徐々に緩んでいった。
「なるほど!不死川は更紗を妹のように可愛がっているからな!だがまさか不死川が更紗の足の上に座りたいと思っていたとは驚きだ!俺ですら座ったことがないのでそれは遠慮願うと伝えておいてくれ!」
「あの、杏寿郎君。それはないと思いますよ?妹の足の上に座りたいと思う兄はいないかと……おそらく実弥さんはよく撫でてくれますので、その代わりの行為が爽籟さんからすれば足の上へ座るものだったのでは?」