第17章 歪みと嘘
「よかったです。私のせいで鬼殺隊に関わる人に迷惑がかかってなくて。……安心したら眠気よりお腹が空いちゃいました」
恐怖を抱きながらも小さく笑う更紗の体を起こしてやり、杏寿郎は脚の上へ更紗を乗せて肩へと腕を回して頭を撫でる。
「夢ではない。更紗はちゃんと俺の腕の中にいる。君が思う全員、傷1つついていないし、更紗の体も無事だ。ほら、神久夜や要も本部への報告を終えてここに……ん?1、2、3…… 更紗見てみろ、不死川の鴉……確か爽籟と言ったな。爽籟までもが君の無事の確認をしに赴いているぞ」
杏寿郎の笑いを含んだ声につられて顔を布団へ向けると、本当にそこには3羽の鴉たちが横1列に行儀良く並んで更紗を心配げに見つめていた。
「皆さん!ご心配おかけして申し訳ございませんでした。爽籟さん、初めまして。月神更紗です。いつも実弥さんにはお世話になっております」
ペコッと頭を下げると、爽籟もそれにならってペコッと頭を下げた。
「心配シテタゾ!少シ目ヲ離ストスグニ厄介事二巻キ込コマレ、スグニ傷ダラケ二ナル。アンマ心配カケンナ!ダトヨ」