第4章 鍛錬と最終選別
「ん?煉獄、えらく手に力入ってんな!え、何?!お前もしかして更紗に惚れ」
ブフゥーーーッ!!
対角線上に座る天元に、杏寿郎は器用に飲み干そうと思っていた茶を計らずも吹き掛けた。
「ちょっ!!お前何やってんの?!きったねぇな!!え、お前マジで」
「宇髄、ちょっと1度外に出よう!」
口元は笑っているが、目をかっ開いており笑顔に見えない。
「え?なんで??ここでよく」
「宇髄、ちょっと1度外に出ようか!!」
今まで天元が見たことのない杏寿郎の迫力に思わず更紗に回した腕を外し、杏寿郎の後に続いて入口に向かう。
「更紗、千寿郎、運ばれて来たら先に食べててくれ!」
「「はい……」」
2人の返事に穏やかな笑みで応えると、天元を伴って店の外へ出ていった。
「一体どうされたのでしょう?」
(あれ、更紗さん今ので気付いていない……??兄上、前途多難ですよ)
兄を思い知らぬふりを通す事にした。
「どうされたのでしょうね?それより宇髄様ってすごく背が高いですね!僕驚いてしまいました!」
話題を変えると素直にそれに合わせてくれる更紗に少し罪悪感を感じつつ、苦労の多い兄を待った。