第4章 鍛錬と最終選別
呆れながら宇髄を窘めるが、宇髄は一向にやめる気配がなく、今度は更紗の肩に手を回した。
「あの……何か頼まれますか?」
困った更紗は取り敢えずお品書きを手に取り、ススっと宇髄の前に滑らせる。
「ブハッ!!ハハハハッ!!お前いいな!!派手に面白い!!美人さんに誘われたんだ、俺も何か食っていくわ!」
その間もずっと肩に腕を回されたままの更紗は困ったように目じりを下げている。
「宇髄、やめてやれ。更紗が本当に困っているぞ」
店員を呼んで注文を終えてなお、その腕は動かない。
「更紗さん、大丈夫ですか?」
千寿郎も心配になるほど、更紗は困り果てていた。
だが、杏寿郎の知り合いで柱である宇髄への対応をどうすればいいのか分からず、じっとしているしかない。
「ありがとうございます、千寿郎さん。私は大丈夫ですよ」
心配をかけまいと千寿郎に笑顔を送る。
「あの、宇髄様。そろそろ腕を……」
「あん?!いいじゃねぇの!減るもんじゃあるまいし」
聞き入れてもらえなかった。
その間、杏寿郎は手に持つ湯呑みににヒビが入るのではないかと思うくらい強い力で握っている。