第16章 柱と温泉
「そんな……危険なのにこんな所まで……ありがとうございます。人とこうして普通にお話しするのが久しぶり過ぎて……言葉が浮かびませんが、鈴村さんにお会いできてすごく嬉しいです」
こちらは見知った鈴村の存在が嬉しく、何より10日ぶりに気を弛めることができ疲れ果てた瞳から涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「私も月神さんが無事でいてくれてすごく嬉しい!さぁ、疲れてると思うけど日が暮れる前に到着しないといけないから、これに着替えて」
体が離され鈴村から手渡されたのは新しい隊服だった。
「到着とは?私はどこに行くのでしょうか?と言うより私はどこかに連れて行っていただいて大丈夫ですか?鬼に……鬼舞辻無惨に追われている身ですし」
シュンと俯く更紗に鈴村は笑顔を向けて頭を撫で、隊服を持たせてやる。
「今から月神さんは刀鍛冶の里に移動するんだよ。それは本部が決めたことだから気にせず行っておいで!詳しくはそこで説明があるはずだから。言ったでしょ?もう1人で頑張らなくていいんだよって。ほらほら、ちゃちゃっと着替えて移動移動!隠の人が待ってるから」