第16章 柱と温泉
いつもの如く天元がどこからともなく姿を現した。
天元は言葉の通り、つい先日鬼殺隊を抜けた。
更紗の件もあったので本人も悩んでいたようだが、足取りも掴め始めたので本部から除隊の許可が下りて今に至る。
天元曰く
「抜けた方が姫さんを探す時間を確保出来る!鬼狩りや警邏がない分、そっちに集中出来るからな!」
との事で、実際に更紗の足取りを掴んで来たのも天元だ。
特別に天元の鎹鴉、虹丸をそばに置くことが許され逐一本部や杏寿郎へ更紗の情報を伝えていたのだ。
「宇髄ではないか!君には感謝してもしきれんのに、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。やはり1度戻って」
「だぁーもう、うるせぇ!俺は好きで勝手にやってんだから感謝も何もいらねぇよ!お前の継子しごくのも楽しそうだからするだけだって!俺はもう柱でもなんでもないから里には行けねぇんだ、姫さん迎えに行けんのはお前だけだろ!早く行けよ!」
言葉は荒いが言っていることはとても優しい。
柱でも鬼殺隊でもなくなったにも関わらず、鬼殺隊である杏寿郎や継子たち、更紗の心配をして最大限の配慮をしてくれるのだ、杏寿郎からすれば感謝の念しか湧かないだろう。