第16章 柱と温泉
その1日前、杏寿郎は要と神久夜から本部からの知らせを宿で聞いていた。
それはとても喜ばしいもので、2羽の話しを要約すると更紗の足取りが掴め明日には隠が保護するとの内容だった。
杏寿郎や柱たちが任務の合間に捜索をしていても、天元の教えをモノにしていた更紗を補足するのは至難の業で困難を極めていた。
更紗のいた街へ到着して聞き込みをすれば、すでに場所を移動していたり姿すら誰の記憶にも残っていなかったりで頭を悩ませていた矢先の知らせだ。
自然と顔に笑顔が戻り声にも張りが出てくる。
「隠の方に保護された後は我が家へ帰るのか?」
「イイエ、コノ1週間で疲れモ溜まってイルト考エラレ、日輪刀の傷みも予想サレマス。まずは刀鍛冶ノ里ニお連れしマス。炎柱様ノ日輪刀ノ刃モ刃こぼれしてオリマスノデ、更紗サンより一足先に里へ向かうヨウニとのコトデス」
杏寿郎にとって有難く喜ばしい指示だが、屋敷へ残してきた継子たちが心配だ。
特に数日屋敷を留守にしたからといって不満を漏らすような子たちではない。
それでも継子を放置してしまうのは……と考えていると部屋の障子が勢いよく開かれた。
「よっ、煉獄!派手に悩んでるようだが心配する必要はねぇ!鬼殺隊を抜けて時間のある俺が、お前の継子全員我が家で面倒見てやる!っつっても、竈門も任務で刀が折れちまって里に向かうから、実際には我妻と嘴平だけだがな!煉獄はなんの心配もせず、姫さんを迎えに行ってやれ」