• テキストサイズ

月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第16章 柱と温泉


そんな事などつゆ知らず、更紗は嫌な音をたてる心臓に焦りを感じながら人気のない畦道を1人足早に歩いていた。

「付けられてる……ここがどこかも分かりませんが……このまま帰ってしまうと家の場所を知られてしまう。人のいる所へも迂闊に近付けませんし……」

それならば引き離せはしないかと走るが、一定の距離を保って鬼の気配は張り付いてくる。
このままでは気を張りつめたまま……命の危険をすぐそこに感じながら夜を明かさなければならない。
それもいつまで続くか分からず、今回の件を考えると陽が出ている間も気をゆるめることが出来ないのだ。

「これが狙いだったのですね。私が音を上げて鬼殺隊に関わるどこかへ転がり込むことが……鬼殺隊の懐へ潜り込めて私を捕まえられると一石二鳥。よくもまぁこれ程までに嫌がることを思いつきますね」

先行きの見えない現状に気持ちは沈むが、いつまでも落ち込んで時間を無駄には出来ない。
幸か不幸か更紗は眠気さえどうにかすれば無尽蔵に動けるので、今はただ行く宛てがなくとも歩き続ける。

「夜間は移動を続け、昼間は見晴らしのいい場所で休息。何か解決策が見つけられるまで可能な限り人との接触を避ける。あとは……しばらく杏寿郎君たちと離れ離れです。安否だけはお手紙か何かでお伝えしないと……あ、お金の問題も出てきました。先行き不安だらけです」
/ 1883ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp