第4章 鍛錬と最終選別
「まぁ!そうなのですね!それはすごく嬉しいですね!」
「あぁ!!更紗のお陰だ!君が昨日の昼餉に酒を嗜んでいる父上の為に特別に献立を考えて作ってくれたと、手当てをしている時に千寿郎が教えてくれたんだ!本当に感謝している!」
子供のように目を輝かせ、今にも更紗に抱き着いてしまいそうなほど前のめりだ。
そんな杏寿郎に引くことなく握られた手をギュッと更紗は両手で握り返し、自身の額に持っていった。
「私は料理を考えただけです。今のご当主様があるのは、毎日杏寿郎さんと千寿郎さんが声をかけ続けたからですよ。今日は素敵な1日になりそうですね」
その更紗の行動に杏寿郎は頬を僅かに赤く染めるも照れよりも嬉しさが勝り、自らの額も重ね合わせられた手にあてがった。
「あぁ、本当にありがとう」
そして2人で見つめ合って笑い合っていると、遠くから千寿郎の足音が聞こえたのでどちらからともなく手をゆっくり離し、入口に視線を向け到着を待つ事にした。