第4章 鍛錬と最終選別
「あ!おはようございます、兄上、更紗さん!」
相変わらずペコッと丁寧に挨拶をしている。
「おはようございます、千寿郎さん」
兄と更紗の笑顔を確認し、先程の杏寿郎の言葉を反芻する。
「外に、ですか??……それは素敵ですね!では急いで準備致します!居間で寛いでお待ちください!」
その姿が見えなくなると更紗は槇寿郎の朝餉を箱膳に乗せ、運ぶ準備を行った。
そうして持ち上げようとすると、ヒョイと杏寿郎が持ち上げてくれた。
「あ、杏寿郎さん、私がご当主様にお持ちしますよ」
「これくらい任せろ!君は手を痛めているのだから、居間で待っていてくれ!父上に外出の旨も伝えてくる!」
「ではお願いします」
うむ!と頷くと杏寿郎は踵を返して槇寿郎の部屋へ向かう。
再び1人になった更紗は2人に言われた通り、居間で待つ事にする。
そうして縁側で日向ぼっこをして待っていると、すぐに杏寿郎が戻ってきた。
「更紗!廊下に箱善を置くとすぐに父上が部屋へ引っ張りこんだぞ!こんな事は初めてだ!」
もうそれは本当に嬉しくて仕方ないと言うように居間に飛び込んできて、更紗の手を両手で握り締めた。