第16章 柱と温泉
次の試合が始まって僅か数分。
蜜璃と村田が試合をしているのだが、村田の階級は庚だったようで健闘はしているが実力が違い過ぎてすぐに終わりそうだ。
そんな試合を応援しながら、更紗はこっそりと隅っこで杏寿郎に見張ってもらって天元の頭の傷を治していたところへ圭太がやって来た。
どうやら那田蜘蛛山任務後の仔細報告の際に杏寿郎や天元と更紗の事について話したことがあったようで、治癒中であっても止められる事はなかった。
「煉獄様、宇髄様お久しぶりです。月神の痣とは何か伺ってもよろしいですか?月神は問題ないようでしたが心配で」
先程の柱たちの更紗に対する心配具合から気になっていたらしい。
寿命が縮むやら表面上は問題ないやら、穏やかでない言葉が飛び交ったからかもしれない。
「……構わないが次は君の試合ではなかったか?甘露寺と村田少年の試合が終わったようだぞ」
「え?うわっ、本当だ。俺もすぐ終わるんだろうな……すみません、ちょっと行ってきます!時間ある時に教えてくださいね」
走り去っていく圭太の後ろ姿を見送りつつ、自分を心配して来てくたことに更紗は嬉しくて笑みを零す。
「彼も優しい少年だな。この縁を大切にするといい」
「はい!そうします!」
「……それだけじゃねぇように思うが。まぁ、心配してくれる奴は大切にするのには賛成だ」
試合中にあった穏やかな時間の数分後、本人の言葉通り圭太はすぐに帰ってきてしまった。