第16章 柱と温泉
飛び込んでいったのだが……一緒に騒ぎ出す前に首元を強い力で引っ張られ強制的に輪から外された。
「おぉい、てめぇ何してくれてんだァ?金の鈴取られちまったら俺らの負けだろォが!1戦目から気ィ抜ける事してんじゃねぇぞ、ゴラァ!!」
実弥の言う通りである。
銀の鈴を1人でも守り切ったら継子たちの勝利という条件だったが、1対1の対戦方式に変更されたことにより金の鈴を更紗が手にした時点で、必然的に継子たちの勝利が確定した。
「悪ぃ悪ぃ!だが見てたろ?姫さんの……ってちょっと待て!喜んでる場合でも怒ってる場合でもねぇんだ!」
「あ"ぁ"?てめぇ誤魔化そうとしてんじゃ」
「違うって!姫さんの左の首筋から頬に薄紫と橙の痣みてぇなもんが出たんだよ!お前らも見ただろ?!いくら姫さんの身体能力が上がったからって、全力で力出してる俺を引きずれるわけがねぇ!それをやってのけたんだぞ?!異常事態だ!」
浮かれた空気に飲まれそうになっていたが、実弥の怒号でようやく思い出された更紗の体に起こった異変。
それを聞いて1番に反応したのは当の本人である更紗ではなく杏寿郎だった。
「なんだと?!瞳の色が変化するのが更紗の痣ではなかったのか?!更紗、体に異常はないのか?よもや寿命が縮まったなどと言わんだろうな?」