第16章 柱と温泉
試合が再開されしばらく経つと、やはりチラチラと更紗の感情が昂った時に薄紫と橙が首筋と頬に写し出される。
もう天元からすれば気が散るどころか心配で仕方ない。
だが色が浮かぶ度に技や動きが洗練され、自身が高揚するのが分かるので闘いを止められずにいた。
「それでもこれ以上はヤバそうだな……次で終わりにしてやる!姫さん、全力でかかって来い!」
「??分かりました!」
感情が再び昂ったのか薄らと色を浮かばせながら構えをとった。
「炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄!」
「マジかよ!!派手に面白れぇ!返り討ちにしてやらぁ!」
血反吐を吐きそうなほど杏寿郎にしごかれ、出来ないからという甘えは一切許して貰えなかった。
出来ないならば出来るまで反復し克服して自分のモノとしろと、来る日も来る日も鍛錬の時は奥義の練習ばかり繰り返させられた。
ようやく奥義を習得出来たのは数日前。
習得したと言えど体への負担が大きく、1日に3度か4度発動するのが限界だ。
認めたくないが天元の鬼殺隊柱としての最後の晴れ舞台、派手を望んだ天元へ更紗からの今出来る精一杯の餞別である。
天元も音の呼吸の技を発動させ更紗の奥義を受けると、辺りに爆音と爆風が吹き荒れた。