第16章 柱と温泉
こんな恋文いらない。
更紗へ哀れみの視線を向けていた剣士たち、共に柱へ立ち向かう継子たち一行は誰もがそう思った。
だがそれは更紗が1番思っている。
しかしこれで全ての疑問が解けた。
哀れみの含まれた剣士たちの視線、しのぶの笑顔、炭治郎の言葉。
継子と言えど一般剣士が複数の柱から闘いを挑まれるなど、誰もが遠慮願いたいものだ。
「これは……ちなみにどなたからの果し状か教えていただけますか?」
天元は可笑しそうに笑いながら更紗の頭を撫で該当人物へ順に視線を巡らせた。
「俺は抜きとして、不死川と冨岡だな!あとは果し状の存在を今知った奴だが、煉獄はどうすんだ?」
果し状を更紗へ手渡していた杏寿郎は悩んでいるのか1人唸っている。
「ふむ…… 更紗の体力次第だ。無尽蔵に動けるとはいえ、さすがに柱相手に3戦もすると気疲れもあるだろうからな。無理はさせたくない」
さすが杏寿郎、自分の願望より更紗を1番に考えてくれている。
だが更紗はいつもこうして気遣ってくれる杏寿郎の望みを足蹴にはしたくなかった。
「杏寿郎君に満足していただけるかは分かりませんが、望んで下さっているのならばぜひお手合わせ願います。精一杯頑張りますので」