第16章 柱と温泉
「こ、恋文ですか?!杏寿郎君、これは一体どういうものなのでしょうか?!」
「俺も知らされていないぞ!胡蝶、恋文とは何だ?!…… 更紗、少しそれを」
小刻みに震える更紗の手から杏寿郎が小さく折られた紙を取ろうするも、その前にしのぶに立ちはだかられてそれは叶わなかった。
「大丈夫ですよ。煉獄さんが心配するような恋文ではございません。見ていれば分かりますし、煉獄さんも喜ぶと思いますよ?さ、皆さん紙を開いて中に書かれている柱の前に移動してください」
もう何が何だか訳の分からない状況に杏寿郎はもちろん更紗はただ困惑するが待たせるわけにもいかず、しのぶの指示に従い袋の中から取り出した紙を開く。
「音柱……私は天元君と闘うのですね」
それぞれのクジの結果
音柱と更紗
炎柱と炭治郎
風柱と伊之助
蛇柱と善逸
蟲柱とカナヲ
水柱と玄弥
霞柱と圭太
恋柱と村田。
となった。
更紗が天元の前へ移動すると、それはもう嬉しそうに顔をほころばせている。
「よし!俺が姫さんの初戦の相手とは派手についてんなぁ!よろしく頼むわ!」
初戦。
更紗の頬を冷や汗が伝った。
「初戦とはどう言う事でしょうか?聞き間違いではありませんよね?」
「聞き間違いじゃねぇよ!もう1枚の紙、開いてみ?」
震える手でどうにかしのぶから渡された紙を開き中身を確認するも、その内容があまりにも衝撃的でハラリと紙を取りこぼした。
ヒラヒラと舞った紙が杏寿郎の前に静かに降り立ったので、それを杏寿郎が拾い内容を確認すると苦笑いを浮かべながら読み上げた。
『希望者からの果し状』