第4章 鍛錬と最終選別
明朝、更紗は遅く寝たにもかかわらず存外すっきりとした気分で目覚めることが出来た。
外で雀がさえずっている声さえ心地いいと感じるほどだ。
「今日はお洗濯日和ですね。朝餉が終わって帰ってきたら、杏寿郎さんの鍛錬の時間までに終わらせなくては」
そう言って布団からゆっくり抜け出し、着物に着替える。
(そういえば胡蝶様がこの着物について何か思う所があったようでした……今度、時間がある時に調べてみましょう)
そんな事を考えながら部屋に備え付けてくれている鏡の前で、昨日成功した時の感覚を思い出しながら髪を結い上げる。
すると1度で綺麗に仕上がり思わず笑顔が零れた。
「よし、準備も完了です!昨日昼餉を千寿郎さんが作ってくれた分、今日のご当主様の朝餉は私が作らないと」
と足取り軽く部屋を出て台所へ到着した。
やはり誰もまだ起きてきておらず、さっそく槇寿郎用のご飯を作り出した。
(今日は魚出汁に卵とほぐした白身魚の身を入れて粥を作ってみましょう)
昨日食べ切ってくれた槇寿郎に、今日も食べてもらおうと出汁のいい匂いのする粥を作り、まだ時間が余ったので昼餉用の焼き魚とサツマイモの味噌汁も作り終えた。