第16章 柱と温泉
「玄弥さんはどなたかの継子ですか?」
「いや、継子ではないけど……色々あって悲鳴嶼さんに面倒みてもらってる」
つまりこの場にいるのは圭太と村田を除けば、何かしら柱と繋がりのある者たちだけとなる。
更紗は木刀を構え直しながら炭治郎と同じように辺りの警戒を始めた。
「それでしたら全員、臨戦態勢を整えましょう。もうすぐここに柱の方々が姿を現すはずです。恐らくですが……私たちの他に鈴を守り切った剣士はいないと思われます」
命がかかった合戦ではないが、この更紗の言葉に全員の背中を冷や汗が伝った。
ここにいる者たち全員、柱の持つ金の鈴を奪っていない……となれば柱は全員健在ということだ。
玄弥が合流したとはいえこちらは8名、戦力差が開いているにも関わらず人数ですら劣っている。
「絶望的な状況ですが、1人でも制限時間内に鈴を守り切れば私たちの勝ちです。諦めず最善を尽くしましょう!」
前向きな更紗の言葉に全員が頷き木刀を構え直したところで、よく通る更紗の好きな……今だけは出来れば聞きたくなかった声が響いてきた。
「それでこそ俺の継子だ!よくここまで残ったものだ!」