第16章 柱と温泉

村田と圭太は継子に囲まれるという非日常的な現在に共感する所があったのか、意気投合して和やかに話しているが、更紗の胸中は先程から嫌な予感で埋め尽くされている。

カナヲが背中を撫でてくれているが、それはおさまらず皆に意見を求めてみた。

「私たちが遭遇、または気配を近くに感じたのは師範と天元君、実弥さんに冨岡様です。こんな偶然、有り得るのでしょうか？私と圭太さんが気配すら感じ取れなかった柱の方々が炭治郎さんたちだけのそばに姿を現すなんて……とは言っても鈴を奪うのに時間がかかるかもしれない継子を最後にするのは合理的ではありますが」

「確かにそうだよね。姉さん……私の師範も私たちの存在を感じ取ってたはずなのに襲いかかって来なかったから」

カナヲはもちろん、探知能力の優れた炭治郎、善逸、伊之助もそれを疑問に思っていたらしい。

「つまり俺たちを最後の楽しみに残してるってこと？！怖すぎるんですけど！」

「でもこっちで残ってるのは全部で7人……柱全員が残ってるとしてこの人数じゃ太刀打ちできないな」

善逸はそう言って震えながらも木刀を握る手を緩めず、炭治郎も気を引き締め直して木刀を強く握って辺りの警戒を強めた。