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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第16章 柱と温泉


更紗の言葉は義勇の記憶を巡らせた。
自分を守るために明日くるはずだった幸せな未来を投げ捨てた姉の姿、最終選別という生存確率の極めて低い試験で山中の雑魚鬼を倒したが、唯一戦闘力の高い鬼に敗れてしまった兄弟子の姿。

その他にも道半ばで散ってしまった剣士や隠。
任務先で守りきれなかった一般の人々の姿。

その誰もが望んでいることはただ1つ……鬼のいない平和な世の中。
鬼に命を脅かされることのない穏やかな日常だ。

「まだ柱であると胸を張れはしないが、託された想いを繋げてみようと思う……次に月神と合間見えた時はその鈴を全力で奪う」

自ら自分の鈴を狙うものを増やしてしまったが、それでも更紗は沈んだ表情から嬉しそうな満面の笑みへと変わった。

「はい!全力で冨岡様に挑まれては為す術もありませんが、その時は私も全力で挑ませていただきます!では今回、私は逃げさせてもらいます。もうあと少しで実弥さんがいらっしゃいますが、あまり激しい喧嘩はなさらないで下さいね」

更紗は終始ポカンとしていた圭太と神久夜を伴って、義勇へ大きく手を振りながら森の暗がりへと姿を消していった。

その僅か数十秒後、更紗の言葉通り実弥が義勇のいる場所へ姿を現したが……いつもより空気が乱れなかったとかなんとか。
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