第16章 柱と温泉
「不死川か?……それは更紗が?」
「ブハッ!ちょっ……姫さんしかこんな事する奴いねぇだろ!いやぁ、嬉しいね!俺の教えをちゃんと自分のモンにしてやがる!」
更紗と実弥の激しく打ち合う音に導かれ、木々の影から杏寿郎と天元が顔を出し木の枝に吊るされた実弥を見上げてそれぞれの反応を示した。
そのどちらも実弥からすると腹立たしいものだったようで、顔から笑顔は消え去っている。
「宇髄てめぇ、あいつに変な事叩き込んでんじゃねェぞ!んだよ、これ?!クソが!」
悪態をつきながら足に絡まった縄のようなものをどうにか解き地面へ降り立って、天元の前へと勢いよく歩み寄り胸ぐらを掴もうとしたがすんでのところで思いとどまった。
「そう怒んなって!てか、まさか俺も姫さんが悠長にこの合戦で罠仕掛けるなんて思ってなかったしな!」
「剣士数百名対柱9名というのが更紗からすれば悔しかったのだろう!戦闘においては度々負けん気の強さを出すので、今回はどんな手を使っても勝ちをとるつもりのはずだ!罠に関しては何も言えないが、あの子も強くなっただろう?」
色々な意味で強くなった。
おそらく剣士の中で実弥を罠に嵌めようなどと考える者は片手どころか、下手をすれば更紗だけかもしれない。