第16章 柱と温泉
翌朝、更紗は相変わらずご機嫌な杏寿郎に見送られて1人屋敷を出発した。
神久夜によると炭治郎たちを含め今日の正午に集まれる剣士全員に手紙が届けられたらしい。
だが生憎と炭治郎たちはそれぞれ昨夜から任務に出ていたので屋敷から出発したのは更紗だけだ。
(現地で合流出来ればしたいところですが……道すがらでさえこの人数なら難しいかも?)
更紗の不安は的中した。
早めに到着したはずだが、すでに麓には多くの剣士が緊張の面持ちで待機している。
「これは……地上から探すのは難しそうですね」
小さな呟きに肩で羽を休めていた神久夜が反応して羽根を羽ばたかせた。
「私ガ空から探シマショウカ?」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんと合流出来ないのは残念ですが、もうそろそろ時間ですし神久夜さんと離れるのは不安です。今から何をするのかは分かりませんが、一緒に頑張って貰えますか?」
神久夜がその言葉に嬉しそうに更紗の頬へ頭を擦り寄せていると、周りの剣士たちが一斉に同じ方向を見てざわめき出した。
それにつられて更紗も剣士たちと同じ方向へ視線を向けると、こちらも驚き目を見張った。
9名の柱全員が姿を現していたのだ。