第16章 柱と温泉
杏寿郎の継子は皆それぞれ壮絶な人生を歩んでいるが、全員が全員一貫して優しい人間だ。
鍛錬でも仲良くへばっているかと思えば、誰かが水や手拭いを用意して全員に配ったり励ましたり……
そんな微笑ましい光景に杏寿郎は何度も笑顔になっていた。
加えて更紗の穏やかな雰囲気や言葉遣い、子供のまま大きくなってしまったが故に、普通の女子なら恥ずかしくて言葉に出来ないこともスラスラと言うものだから、基本的にいつも新煉獄家はフワフワとした柔らかな空気が漂っている。
「更紗はすごいし可愛らしいな!俺も更紗にはそのままでいてほしいって心から思うよ」
「うむ!俺は更紗を見ているだけで癒されているからな!このまま素直に大人になってほしいものだ」
いつの間にか2人に褒められ、更に杏寿郎には炭治郎がいるにも関わらず頭を抱き寄せられたのでいつも通り顔が真っ赤になってしまった。
そこへ静かに扉を開けて、いつも通り穏やかで綺麗な笑顔をたたえたしのぶが診察室へと入ってきた。
「あら、なんだかすごく柔らかな空気ですね。私も混ぜてくださいな」
ニコリと微笑みながら顔を覗き込まれた更紗の顔は、気を失うのではと心配になるほど更に顔を赤らめた。