第16章 柱と温泉
その間も炭治郎は伝えようと必死に体の全てを使っているが余計に分からなくなるだけである。
そんな中、やはり副作用を克服したと思われる更紗が1番早く解明できた。
「体に感じていた倒れそうなほどの負荷のみがスッと引いていき、体温と心拍数は高いままなのに脳は妙に冴えて体が軽くなった……でしょうか?私の時がそうだったので」
解明出来たのではなく経験則から基づく解説だった。
どちらにしても炭治郎は無事に伝えたかったことを説明して貰え、顔色をパッと明るくして頷いた。
「そう!そんな感じだ!熱はあるのに突然その辛さが消えました」
「それなら良かったです。まだ誰も使ったことがなく試薬品だったので、正直なところどこまで効果があるのか不明瞭でしたから。念の為に改良を済ませたものを持ってきますので、それも飲んでいてください。皆さんはこちらでお待ちくださいね」
そう言ってしのぶは立ち上がり、改良されたという抑制剤が保管されているであろう研究室へと足を向けた。
その背中を見送った3人はホッと息を着く。
「大事なくてよかった!体に辛いところはないか?」
「痛かったり辛ければ言ってくださいね?私に出来ることは何でもしますので」
2人に心配げな表情で顔を覗き込まれた炭治郎は頭を上下に振って、元気だと伝えるようにトンと胸を叩いた。