第16章 柱と温泉
天元が言うには
「お前ら真面目な話しかしてねぇじゃねぇか!普通好いた女が押し倒してきたら何かもっと……こうあるだろ?!せっかくお膳立てしてやったのに面白くもなんともないな!相変わらず硬ぇ!」
との事だった。
そもそも天元が部屋の外で聞き耳を立てていたことに杏寿郎は気付いていたので、決心云々の前に更紗に手を出すはずがなかったのだ。
そう言われて天元は少し不貞腐れていたが、ある程度こうなることは予想していたようですぐにいつも通りに戻っていた。
そんなやり取りが終わった現在は、天元たちと別れて全員で蝶屋敷へとやって来ている。
全員がしのぶの診察を終えると、伊之助は裏山で鍛錬をするのだと言って嫌がる善逸を引っ張って元気に飛び出して行った。
診察室に残ったのは更紗と杏寿郎と炭治郎と禰豆子の入った木箱だけだ。
「まさか煉獄さんが試す前に炭治郎君が痣を発現するなんて思ってもみませんでした。体調はどうですか?抑制剤を飲む前と飲んだ後で何か変化はありましたか?」
炭治郎は瞼を閉じて暫く考えた後、身振り手振りと擬音語で変化があったことを伝えるが、それが要点を掴みづらいものだったので全員が懸命に解明のために頭を働かせた。