第16章 柱と温泉
こちらもやる気満々、杏寿郎と同じく瞳を爛々と輝かせて本気で雑務を請け負おうとしている。
そんな更紗の気概が杏寿郎にとっては嬉しく自然と頬が緩んだが、発した言葉はえげつなかった。
「それならば更に厳しい鍛錬を課すので、柱になれるほどの力をつけるか!恐らく今回の任務で更紗の階級は甲に上がるが、君の治癒能力の特性上、危険を鑑みて柱となるのは厳しいのが現状だ。だが宇髄が抜けて柱が不在となると、隊士の中には不安に思うものも出てくる。いざと言う時に柱となれる人材がいれば、こちらとしても助かる!」
鬼殺隊に身を寄せて早1年ほど経つ更紗であるが、まだ1年である。
杏寿郎から見ても今の更紗の実力は柱には到底及ばない。
しかし無尽蔵に動き回れ、尚且つ痣を自在に発現させ身体能力を上昇させられる更紗の資質は剣士の誰もが羨むものだ。
柱になれなくとも、痣の発現ない状態で柱と同程度の力を付ければそれこそ大きな戦力となる。
それを更紗も理解しているので、えげつない杏寿郎の言葉を受け入れた。
「皆さんのお力になれるのであれば、私はそうなりたいと思います。せっかく特異能力をもって生まれたので、それを活かしたいです!弱音も泣き言も絶対に言いません、柱の方々と肩を並べられるようご教授願います!」