第15章 箱庭に流れる音色
「俺にもよく分からないんですが、禰豆子の血鬼術の炎は鬼の毒を焼き消す力があるみたいなんです。でも怪我は治らないのであまり動かない方が……」
「天元君の怪我を治さないと!」
今までの笑顔は瞬時に消え去り、今度は泣きそうな顔で天元がいるであろう方向を向いて勢いよく立ち上がり、禰豆子を抱えたまま走り出してしまった。
そんな更紗を呆気に取られて2人は見ていたが、慌てて後を追うために走り出す。
「宇髄や黄色い少年、猪頭少年の怪我は重篤なのか?」
「……善逸と伊之助は重傷ですが日が経てば完治します。でも宇髄さんは…… 更紗でも完治は出来ないかと」
少し先を走る更紗の背が痛みを堪えているかのように見え、杏寿郎も炭治郎も眉をひそめた。
「そうか……竈門少年も軽傷ではないのだから、あまり無理はしないでくれ。俺は誰も失いたくない」
「はい。ですが俺はこのまま鬼が消滅したのか確認しに行きます。怪我も見た目ほど酷くありませんから。煉獄さんは更紗のそばにいてやって下さい」
自分よりも他の誰かの心配ばかりする継子たちに溜め息が漏れそうになるも、それを飲み込んで眉を下げながら笑顔を向けた。
「分かった。くれぐれも慎重にな!何かあればすぐに俺を呼べ、すぐに駆け付ける」