第15章 箱庭に流れる音色
たが人数は多いに越したことはない。
この場に残って闘っている炭治郎と善逸とは杏寿郎によって連携を取れるように日々扱かれていたし、天元との任務は初めてだが鬼殺隊に入る前から今まで、何度も鍛錬に付き合ってもらい互いの動きを把握している。
きっと連携に関しては体さえ動けば更紗が1番取れるだろう。
しかし毒を受けた自分は天元にとって戦力外なのかもしれない。
それでも動ける力が残っているなら、僅かでも力になりたい。
きっと杏寿郎ならば最後まで諦めず食らいついていくはずだ。
そんなことを考えていると、脳裏に燃え盛る炎のような力強い師範の姿が浮かび、更紗の顔に笑みが零れる。
「頑張らなくちゃ……皆で一緒に帰らないと」
更紗は天元の願いとは真逆の行動を取った。
瓦に着いた膝を立たせ、鬼の毒に対して有効なのかは不明だが血液と共に力を体に巡らる。
そして呼吸を整えて、左手に括りつけた日輪刀を右手でも掴んで地面へと降り立った。
「まだ闘えます!もう前のように後悔したくありません!」
鬼の毒に対して力はあまり効力がないのか、全身が内側から焼かれるような例えようのない痛みと戦いながら、激しい攻防が繰り広げられている戦場に視線を巡らせて入る隙を伺う。