第15章 箱庭に流れる音色
炭治郎が更紗たちの動きに注意が逸れたように、天元や兄鬼もそちらへ意識を持っていかれた。
ほんの数十秒の間で目まぐるしく状況が変化していった。
妹鬼の頸へと3人の刃が届いたかと思えば頸は帯へと変化して、それでも頸を斬ろうと懇親の力で刃を振り続け、やがて帯は力負けして3人の手によって斬られた。
地上で戦闘を繰り広げていた天元たちはそれぞれ、今目の前で起こった出来事に対して自分の成すべきことを成すため動き出した。
「マジかよ、あいつら斬りやがった!竈門、ぜってぇクソ鬼をあっちに行かせんな!嘴平を遠ざけさせるぞ!」
「分かりました!」
妹鬼の頭を抱えて走り去る伊之助を追いかけようとしていた兄鬼へ2人は交互に攻撃を仕掛けて食い止めているが、相手は命がかかっているので先程までよりも動きの速さも攻撃の重さも段違いに上がり、徐々に妹鬼へにじり寄っている。
「行かせねぇって言ってんだろうが!音の呼吸 肆ノ型 響斬無間!」
鎖を使って二振りの日輪刀を巧みに操り斬撃と爆発を兄鬼へと浴びせるが、向こうも黙ってやられるわけもない。
血の刃を両腕に出現させ、天元の攻撃はもちろん辺りの家屋も巻き込んで全てを破壊していく。
3人の周りは砂煙に覆われ互いの姿が見えなくなる。