第15章 箱庭に流れる音色
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」
「獣の呼吸 弐ノ型 切り裂き」
慣れ親しんだ姿、声に安堵して、更紗の顔に思わず笑みが零れる。
そして見慣れた技が妹鬼の帯を切り刻み、頸に一筋の傷を作って2人が更紗の隣りに並んだ。
「お待ちしておりました!善逸さん、嘴平さん!」
「スピピ……お待た……せ。スピ」
「俺様が来たからにはぜってぇ負けねぇからな!ヒョロがり、紋逸!着いてこい!」
先ほどまで起きていたはずの善逸は眠っている。
後から聞いた話によると、瓦礫を登ってる途中で足を滑らせた事による恐怖で気を失ってから眠り続けていたらしい。
今の更紗には知る由もないが、眠っていても強いのに変わりはないので特に気にしていない。
伊之助に至ってはたまに名前をきちんと呼んでくれるが、更紗のことはヒョロがりでほぼ定着してしまっている。
慣れとは怖いもので、これも特に更紗は気にしていない。
それよりも同じ師の元で多くの時間を共有し、共に鍛錬や任務をこなしている2人が来てくれたことが更紗にとっては重要だった。
「はい!必ず勝ちましょう!」
こうして3人と上弦ノ陸……妹鬼との闘いが開始された。