第15章 箱庭に流れる音色
澱みのないはっきりとした返答が杏寿郎を連想させ、天元は喉を鳴らして笑って鬼を迎え撃つために日輪刀の刃を前へと向けた。
「本っ当に派手に頼もしくなりやがって!いいか、姫さん。あいつらは2体で1つだ!頸も片方斬っただけじゃあ倒せねぇ!2体とも頭を胴から離してようやく消滅する!そうだよなぁ?!」
2人を追いかけて来た鬼はそれがどうしたと言わんばかりに天元の推測を鼻で笑い、鎌と帯を構える。
「分かったところでお前らは俺たちを倒せねぇなあぁ。今までの柱も出来なかったからなぁ」
「そうよ!夜はまだ明けない。しかもその憎たらしい女は柱でもないもんね。他の奴らも全員雑魚、あんたたちに勝ち目なんてないのよ!」
先ほどまでずっと愚図っていた妹も調子が出てきたのか、無数の帯を出現させ更紗へと殺気のこもった厭な笑みを向けている。
「あんま姫さんら舐めてっと痛ぇ目みるぞ!身を持って派手に味わえや!」
そう言って天元は兄鬼に攻撃を食らわせ、屋根から引きずり下ろして地上で闘うように仕向け更紗に場所を明け渡してくれたと同時に、妹鬼の背後から2つの人影が物凄い速さで日輪刀を振りかざしながら近付いてきた。