第4章 鍛錬と最終選別
千寿郎が寂しくないようにするには、早く鬼を滅殺するしか道は無いのだろう。
きっと誰よりも千寿郎がそれを理解しているから、こうして信じて大切な家族である兄の帰りを辛抱強く待っている。
だから、更紗が鬼狩りへ出掛けるようになっても笑顔で送り出してくれるだろう。
「もどかしいですね……何もかもが解決して、皆が笑える日が早く来て欲しいです」
その為に更紗も一刻も早く鬼殺隊の剣士となり、戦わなくてはならない。
この家が笑顔で溢れるように。
夜も日付が変わると春といえど冷えるもので、持ってきておいた綿入れをはおり、準備していた温かいお茶をすする。
冷えた体と心に温かいお茶が染み渡り、思わずホッと溜め息を漏らした。
そこへザッザッと足音が門の向こう側からこちらへ近付いてくる。
杏寿郎に稀血であるから、夜は特に気を付けるようにと言われていたので、少し身を引き様子を伺う。
ドクドクと心臓が飛び出しそうな勢いで胸を叩き、寒いはずなのに汗が吹き出る。
そして門が開き、踏み込んでくる足元を見て更紗は裸足のまま飛び出して行った。