第4章 鍛錬と最終選別
更紗も風呂を借り、昼間の鍛錬での汗を流し心なしか気持ちもスッキリして、千寿郎に助けて貰った時の話をしながら夕餉を済ませた。
その時の千寿郎は目をキラキラさせ、兄上は僕の誇りなんですと嬉しそうに話していた。
槇寿郎は相変わらず部屋でご飯を食べているが、消化に良い出汁で作った粥と淡白な焼き魚などは完食してくれて、2人は静かに喜びあった。
そうして夜も遅くなり互いに休む為に部屋へと戻ったが、更紗は初めて杏寿郎を見送ったので心配で眠れそうにない。
部屋で1人悶々としていても気が滅入るだけなので、静かに居間に移動して障子を開けて縁側で過ごす事にした。
「千寿郎さんとご当主様は、幾度となくこのような不安と戦い続けていたんですね……千寿郎さんは私より歳も下なのに、すごく立派です」
それに比べ自分はなんと脆弱なのだろうと俯く。
「こんな時に、私もそばで戦えていたら不安も感じずに居られるのでしょうか?」
それはそれで千寿郎が寂しい思いを再びしてしまう。
だが、晴れて更紗が鬼殺隊剣士になれば、そんな日も来るのだと思うと胸が痛んだ。